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翌日の学校内は騒然とした空気が流れていた。


昨日の1日で光と真里菜の2人が死んだ。


しかも、光は学校のトイレで自分のお腹を切り裂いて死んだのだ。


その異様な出来事を知らない生徒は、もうひとりもいなかった。


光が死んでいたトイレは今は封鎖されていて、誰も使えないようになっている。


「真里菜、ストーカーに殺されたんでしょう?」


そんなひそやかな声が聞こえてくる。


あたしは黒い帽子の男を思い出していた。


あの男は真里菜を殺害した後逃走したが、すでに捕まっていた。


1度目のときに捕まらなかったから、今度もうまく行くと思っていたのかもしれない。


真里菜はアルバイトを始めてまだ数日しか経過していないから、もしかしたらそれ以前から真里菜に狙いを定めていたのかもしれないそうだ。


そんなときに真里菜がアルバイトを始めて、一人で帰宅する時間が増えた。


犯人の男は今がチャンスだと思って、行動に移したのだ。


どっちにしても、美緒の絶対様がそういう運命を作りだしたのだと、あたしは確信していた。


それからあたしは咲へ視線を向けた。


今日も休むのかと思っていたが、咲は今日登校してきていた。


友人が2人も死んでしまったから、その話をちゃんと聞きにきたのかもしれない。


右足はまだ包帯で固定されていて、よくなっているようには見えなかったから。