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この日も、授業ところではなくなっていた。


光がトイレで自分の腹部を切り裂き、内臓をぶちまけて死んでいたのだから仕方ないことだった。


光が死んだことで真里菜は発狂していたが、あたしはそれを見てもなにも思わなかった。


こいつらは美緒を殺したんだ。


死んで当然のやつらなんだ。


そう思う心は、ひどく冷えていた。


「あたし、早退する」


光が救急搬送された後、真っ青になった真里菜がカバンを持って教室から駆け出した。


咲も光もいなくなって、途端に心細くなったのかもしれない。


それならあたしが一緒にいてあげよう。


そう思い、あたしも同じようにカバンを掴んで教室を出た。


光の騒ぎのせいで廊下は混雑していて、生徒が2人学校を抜け出したところで誰も気がつかなかった。


校舎から出た真里菜は不意に歩調を緩めて周囲を警戒しはじめた。


自分のストーカーがいないか確認しているみたいだ。


でも今は昼間だ。


周囲に行きかう人の気配はほとんどない。


時々年配の人が犬をつれて散歩をしているくらいなものだった。