美緒の姿は見えなくても3人に降りかかる不幸な出来事を見ていると、美緒がそこにいてくれているような感覚になる。


あたしはその日、ゆっくりと眠りにつくことができたのだった。


「ちょっとナナ、いつまで寝てるの?」


そんな声で目を覚ましてビックリした。


時計の針はすでに登校時間を指している。


こんなにゆっくりと眠ったのは久しぶりのことで慌ててベッドから降りると着替えをした。


顔を洗って髪の毛を整えていると、もうご飯を食べる暇なんてなかった。


まるで少女マンガみたいに食パンをくわえて家を出る。


リビングから「気をつけていきなさいよ」と声が聞こえてきたけれど、返事をしている余裕もなかった。


バタバタと家を出て学校へ向かう途中、同じ制服姿の女子生徒がゆっくりと歩いているのが見えた。


そんなにのんびりしていたら遅刻してしまうのに。


そう思い、追い越すときに何気なく振り向いた。