「なにか隠してんじゃないの?」


真里菜に言われてあたしはうつむいた。


そして左右に首をふる。


「もしかして、願いが曖昧だったからじゃない?」


そう言ったのは光だった。


あたしは驚いて光を見る。


「ナナの願いは幸せになることだったよね? それってあたしたちに比べてハッキリしてないから、それで災いは降りかかってないのかも?」


首を傾げながら見当違いなことを説明しはじめる光。


あたしはそれに便乗して大きくうなづいて見せた。


「そ、そうかもしれない! 曖昧な願いだからだよ!」


そう言うと咲はあたしから一歩離れた。


本当かどうか見極めることなんてできない。


それに、あたしに災いが降りかかっていないことよりも、どうして不幸になりはじめたのかを探るほうが肝心だ。


だけど咲たちは目先のものばかりを見ている。


「そうなのかな」


「絶対様の考えることなんて、あたしたちにはわからないからね」


あたしは言い含めるように言った。


咲はまだ納得した様子ではなかったが、「そっか、わかった」とうなづき、あたしに背を向けた。


どうやら話は終わったらしい。


帰っていく3人の後姿を見送って、あたしはホッと胸を撫で下ろしたのだった。