3人につれてこられたのは校舎裏だった。


イジメに遭っていたときもここには何度かつれてこられたことがある。


久しぶりに立つその場所にいやな記憶がよみがえってくる。


「なんであんただけ無傷なわけ?」


嫌な記憶の中に溺れそうになったとき、咲がするどい視線をあたしへ向けてきた。


「え?」


「あんたも絶対様にお願いした。なのに、どうして無傷なの?」


「それは……」


素直な返事なんてできなかった。


絶対様は今、あたしが幸せになるために動いているのだから。


「わからない」


あたしは小さな声でそう答えて、下を向いた。


これが咲の望む答えじゃないことくらいわかっていた。


適当なことを答えたらどうなるかも、もう十分体で理解していた。


それでも、言うことはできなかった。