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いくらニュース番組を気にして見ていても、もう廃墟の火災について取り扱っている番組はなかった。


火災の原因がわかればまた少しは話題に上るかもしれないが、それまではなにもなさそうだ。


モヤモヤとした気分を引きずったまま、次の登校日になってしまった。


学校までの道のりであたしは丘の上にいた警察官たちの姿を思い出していた。


何人かで捜査していたから、火災の原因が不審火だとすぐにわかることだろう。


それじゃなくてもあそこは廃墟で、火の原因になるようなものはほとんどない場所だ。


もしも咲が火をつけたとバレたら、自分の身も疑われることになる。


そうなったらどうしようと、冷や冷やしている。


しかし、そんな気分は教室へ入った瞬間吹き飛んでいた。


席に座っている真里菜が、腕をギプスで固定しているのだ。


真里菜の顔色はひどく悪くてうつむいている。


どうしたのかと思いながら自分の席につくと、すぐ前の席の女子生徒がはなしかけてきた。


「おはようナナちゃん」


「お、おはよう」


こうした挨拶もだんだんと慣れてきた。


「あれ、かわいそうだよねぇ」


女子生徒は真里菜へ視線を向けて、小声て言った。


どうやらなにか知っていそうだ。