そう思ったときだった。


咲が口角を吊り上げて笑った。


その不適な笑みにあたしは涙も引っ込んでいくのを感じた。


「そっか。じゃああんたは外で待ってるといいよ」


明るく言った先の言葉にあたしは「えっ」と声を上げる。


同時にカッターナイフは下ろされて、真里菜と光に両腕を掴まれていた。


そのまま出口へと引きずられていく。


「待って、ちょっと待って!」


叫んでも誰も聞いてくれなかった。


南京錠の鍵は真里菜も持っていたようで、古いスカートから小さな鍵を取り出して開錠した。


「美緒!!」


体育館倉庫から無理矢理押し出される瞬間、あたしは叫んだ。


床に倒れている美緒がかすかに顔を上げてこちらを見る。


そして、目があった。


「美緒!」


再び叫んだが、あたしは真里菜と光に突き飛ばされて、体育館倉庫の外へと転がり出ていた。


「誰かに言ったら、お前の友達がどうなるか。わかるな?」


真里菜があたしへ向けてカッターナイフを突きつける。


あたしは言葉につまり、押し黙ってしまった。


そして体育館倉庫の扉は閉められてしまったのだった……。