「だから、これからは外の体育も出来ないし、肌を隠すために暑苦しい服装をしなければいけません。」
みんな、声が出ないようだった。
「皆さんは、こんな私でもクラスの一員だと、思ってくれますか?」
1番声が震えていた。怖い。そんな気持ちが伝わる。
パチパチ パチパチパチ
誰かが返事がわりに拍手をした。
みんなが拍手をした。
でも、私は出来なかった。
手が震えて、力が出なかった。
ずっと俯いていた。
それから、葉月は、闘病しながらも、楽しそうにしていた。
笑顔を見せていた。
私だけだ。葉月の病気を受け止め切れていないのは。葉月本人はもう受け止めているのに。
1番辛いのは葉月なのに…。
それから、私は、葉月のようになりたくて、必死でXPについて調べた。
調べてどうなるのかは分からなかったけど、調べずには居られなかった。
葉月の病気を知れば知るほど、辛くなった。
でも、私は決めた。
これからは、ずっと葉月のそばにいると。
【宿泊行事】
side葉月
「えー。では、毎年恒例のクラスの仲を深めるための宿泊行事の班決めをしまーす。男女2人づつの4人組をつくれー。」
担任、山本のだるそうな声を合図にみんなが立つ。
私は迷わずかえでのところに行った。
「かえで!」
「葉月!一緒に組も!」
「うん!」
よし!決まった!
あとはー、男子。
「かえでー。」
「あ、将吾!」
「組もうぜ」
「いいよ〜。いい?葉月」
「うん。勿論。」
松原将吾くん。かえでの部活仲間で、仲がいいらしい。
「チッ。女と一緒なんて。」
この声は…。確か、女嫌いの小城駿斗くん。
すっごくモテる…らしい。
「おーい。何言ってんだよ。葉月ちゃんも一緒だぜ?」
何故私が出てくる?
無言で私を見る小城くん。
「許す。」
ん?何を?
「な〜。だよなぁ。」
なんか松原くんニヤニヤしてるし。
「ほ〜。そゆことね〜」
かえではなんかわかったみたい
「どういうこと?」
「んー、秘密よ」
「えー。」
教えてくれないなんて。
まあ、班は決まったし、良しとするか!
その後は、どこをどう回るかとか、夜ご飯のメニューとかを決めた。
行き先は北海道らしい。
きゃー!海鮮丼たべたーい!
スムーズに決まり、話し合いの時間は終わった。
私は…みんなと一緒には回れない。
だから、買い出し係になった。
少しは役に立ちたいからね!
【恋心】