そこには私の片想いのバイト先の先輩、

龍野朔夜さんがいた。

「先輩どうしてここに?」と私が聞くと、

「俺も願い事吊るしに来たからかな?」なんて笑う。

この顔ずるい。

私は優しくてカッコいいこの先輩の笑顔が大好きだから。

私は気づいていない。悠斗が睨まれたことを。

「友梨亜、俺先帰るわ。後は二人でよろしくやってよ。結果は後で聞くからさ」と悠斗はドキッととするくらい低温ボイスで私の耳元で囁いた。

私が顔を赤らめて下を向くと挑発でもするかのように、朔夜さんを見ている。

「あ、待って!短冊かけていかないの?」と私が言うと

「そんなん必要ないだろ。かけなくてもすぐ叶いそうだし?」と私の肩に手を置いた。

そして、笑顔なのにどこか怖い朔夜さんを横目に去っていってしまった。

取り残されて動揺している私に、朔夜さんは声をかけてきた。

「今の男とどーゆう関係?」って。

「…えっ?あー悠斗ですか?1つ下の幼馴染みなんです。家が隣なので昔からスゴく仲良くて…」と私が言うと少し不機嫌そうな朔夜さん。

「2人で七夕デートかよ…」とボソッっと言われた。

「…どうかしましたか?なんか…怒ってます?」と私が聞くと、

「…いや、その…」と朔夜さんは言葉を濁した。