身体中に走る全身の痛みで目が覚めた。
 …ここ、どこだ。
 明らかにベッドじゃなくソファに寝かされている。ソファでなんて寝たことがなかったから寝苦しく落ち着かない。
 横を向いた先にはあの女が机に伏せて寝ていた。何で間宮里未が…いや、そもそも何で俺はここで寝てるんだ。
 あのイカれた男と目が合って…それで…。嫌な汗が背中を流れていった。
 そうだ…俺、車で…あいつにひかれ…て…。
「うっ…!」
 思い出そうとすればするほど、拒否反応が働いて頭痛がする。
 とりあえず…このままここに居るのはマズイだろ…。身体を起こして室内を見る。綺麗にされていて不審なところが1つもないことに逆に不審に思えてしまう。
 あいつが戻ってくる前に…。
「よし…出るか」
「どこに出るって?」

 ビクッ!

 いつの間にそこに居たのか、扉の前で腕を組んで立つ、あいつがいた。
 足音しなかったぞ!?何なんだよ、こいつ!
「お前…何なんだよ。さっきも見て脅してきたじゃねぇか!」
「…脅す?心外だね。君も言ってるじゃないか。僕はただ"見てた"だけだ。まぁ…君の乗っていたタクシーを大破させたのは事実だけどね」
「な、なにが言いたいんだよ」
  情けないことに言葉まで震えてしまう。目の前の男にはそれほどの冷酷さがあった。明らかにどこかおかしな男だと分かる。
「そうだな…君には選択肢を与えよう」
 見開かれて気味の悪い目と不敵に笑う様は不気味で恐怖さえ感じさせた。
「1、ここを出ていく。2、里未さんと同じ道を選ぶ。3、僕に殺される。…さぁ…じっくり考えて選びなよ。これはチャンスだ。君の人生さえ180度変えることになる。つまらない女達に囲まれるのは疲れたんだろ?」
 何で、それを知ってるんだ!?あの短時間で調べあげたって言うのかよ…!
 警戒心たっぷりに目の前の男を観察する。