『昨日の男が捕まったらしいね。僕のおかげで使いものにならない人間になってしまったみたいだよ』
「卓人くん…?」
笑ってる…。
『考えたんだけど、今日は…いや、何でもないよ。終わり頃には迎えに行くよ』
私はさっきまでの桃色の思考は悪い意味できれいにかき消されてしまった。
いっきに身体が冷えたような気がする。
卓人くん…何をする気?
大学の授業なんて、やっていられない。
私は気づいたときには引き返していた。
背後で美咲の呼び声がしたけど、いまは放っておいて!
卓人くんっ…お願いっ…早まらないで…!