この案件は一時保留にしてもらった。

結婚となると一応自分だけの問題ではないので、両親にも相談しなければいけない。実家に帰り、正直に二人の兄と兄嫁と両親に相談すると、意外な答えが返ってきた。

「それはいいお話だ」と。

そして
友達や会社の同期に相談しても、みんな同じ答えだった。

そんな優良物件はいない。
稼ぎは少ないけど、その分自分が稼げばいい。家の事を完璧にやってくれる主夫なんて理想の相手で、一番大切なことはそれだけ相手に望まれて結婚するなんて、なんて幸せなんだろう。ダメなら別れればいいだけの話だから大丈夫と。

いいの?

不安顔をしていると「好きじゃないの?」って聞かれて「好き」って素直に返事した。
今まで一緒に過ごして、こんなに楽で癒される人はいなかった。

みんなに私は背中を押され、拓ちゃんのプロポーズにYESと返事をすると、拓ちゃんは泣いて喜び「一生大切にします」と、言ってくれた。

それから
私の家族に拓ちゃんを正式に紹介すると、拓ちゃんはすぐ家族と仲良くなり、次は私が拓ちゃんの家族に紹介される番となる。

緊張しながら彼の家族に会いに行って、私は知った。

拓ちゃんという優良物件が
なぜ
今まで売れ残っていたかという理由が……。