「ロルフ君! 大丈夫――!? って、オーガ倒しちゃったの!?」
「エルサさん!? いつの間にここに!」
巨木の根で待っててくれるはずのエルサさんが、こちらに向かって駆けてくるのが見えた。
「エルサさん、待っててと言ったのに!」
「心配で、心配でしょうがなかったからきちゃったの! 怪我とかない!」
こちらに着いたエルサさんは、目に涙を浮かべながら、僕の体を隅々まで触って無事を確認していた。
「大丈夫ですって。なんか……オーガ倒せちゃいました」
オーガの死体が消え、素材であるオーガの角と魔結晶が地面に転がっている。
ゴブリンたちも装備を落とし、素材であるゴブリンの骨と、魔結晶になっていた。
魔結晶や素材は、魔物が倒されると一定時間で生成され、魔力の源として様々な道具に使用される。
そのため、魔結晶は冒険者ギルドが買い取ったりしてくれている。
「すごい……ロルフ君が全部倒したんだよね」
「は、はい。倒せちゃいました」
「護衛についてた冒険者たちが逃げ出したオーガを、たった一人で倒すなんて……。やっぱロルフ君があたしの運命の人」
無事なのを確認したエルサさんに抱き付かれ、自分の顔がまた彼女の胸に埋もれた。
「うわっぷ。エルサさん!?」
抱き付かれて思い出したが、彼女は献上奴隷としてフィガロさんの家に送り届けられる途中だった。
なんとかお金を工面して、エルサさんの村が支払えなかった徴税額を納められないかな。
ゴブリンとかが落とした武器とか、再生スキルで新しくしたら売れそうだし、魔結晶もオーガとかのなら高く買い取ってくれそうだし。
エルサさんの胸から抜け出すと、僕の無事を喜んでいた彼女にお金の話をすることにした。
「エルサさん! フォルツェン家の献上奴隷にならないで済むよう、少しでもお金を稼ぎませんか? ほら、僕たちならサビた物でも新しくできますし! 魔結晶もあるし!」
僕の提案を、エルサさんはきょとんとした顔で見ていた。
「ロルフ君! 頭いい! そうね! あたしたちって物を再生できる力があったんだ。新しくなれば売れる物になるよね! やろう、すぐにやろう!」
一応周りにいた魔物はすべて倒したし、危険もないだろうから、エルサさんにも拾うのを一緒に手伝ってもらおう。
「じゃあ、エルサさんも魔結晶とか素材を集めるの手伝ってもらえます?」
「うん、する! これは、あたしを助けてくれたロルフ君へのお礼ね。こんなことしかしてあげられないけど……受け取ってもらえるかな?」
エルサさんのやわらかい唇が、僕の頬に軽く触れた。
彼女の唇が触れた途端、自分の顔が火照っていく。
「エ、エルサさん!? 何を!?」
「こ、こんなことしかできないけど、あたしからのお礼の気持ち受け取ってくれてありがとう。あ、あの、もう一回しとく?」
エルサさんも照れているようで、顔が赤かった。
か、可愛い。
いや、年上の人に可愛いなんて言ったら失礼だよな。
って、そうじゃなくて! 今、僕ってキスされた!?
魔結晶や素材などを集め始めたエルサさんの後ろ姿を見ながら、僕は彼女の唇の触れた場所に手を触れぼんやりと立ち尽くした。
「ロルフ君、早く集めよー」
ぼんやりとしていた僕に、エルサさんが声をかけてきたので、慌てて装備や素材、そして魔結晶を集めることにした。
「エルサさん、武器の破壊をお願いします」
「うん、すぐにやる」
素材や魔結晶や武器を集め終えたので、装備を再生させるため、エルサさんの破壊した廃品に触れるとスキルを発動させる。
――――――――――
再生スキル
LV:1
経験値:2/12
対象物:☆巨大こん棒(廃品)
>巨大こん棒(普通):90%
>巨大こん棒(中品質):70%
>巨大こん棒(高品質):50%
>巨大こん棒(最高品質):20%
>巨大こん棒(伝説品質):10%
―――――――――――
成功率の高い普通品質を選び、再構成を始めた。
周囲へ一気に光が溢れる。
光が収まると、真っ二つにされていたはずの巨大こん棒が元通りに戻っていた。
>巨大こん棒(普通品質)に再構成に成功しました。
>巨大こん棒(普通品質)
攻撃力:+20 資産価値:二万ガルド
「大きい……オーガが持ってたこん棒よね。こんなの持てる人いるのかしら」
「でも、資産価値二万ガルドって出てますし、欲しい人はいるんでは」
「こ、これが二万ガルドもするの?」
再生スキルが算出したと思う資産価値だから、買う人がいればって話だろうけど。
大きな槌を使う戦士の人とかなら、欲しい人いるかもしれないし。
「意外と武器は高く売れるかも。他の武器も再生していきましょう!」
「うん、バンバン破壊するね」
エルサさんが新たに破壊した武器に手を触れ、再生させる。
――――――――――
再生スキル
LV:1
経験値:3/12
対象物:☆鉄の大刀(廃品)
>鉄の大刀(普通):90%
>鉄の大刀(中品質):70%
>鉄の大刀(高品質):50%
>鉄の大刀(最高品質):20%
>鉄の大刀(伝説品質):10%
―――――――――――
普通の品質で再構成を選ぶ。
>鉄の大刀(普通品質)に再構成に成功しました。
>鉄の大刀(普通品質)
攻撃力:+6 資産価値:二五〇〇ガルド
再生を終えた大刀は刀身にあった刃こぼれと錆が消え、新品同様に戻った。
その後、ゴブリンたちが落としたサビた鉄の剣を同じように再生させていくと、視界の端に出ていた文字の表示が変化していた。
───────────────────
>【再生】スキルがLVアップしました。
>LV1→2
>解放:☆の成功率1%上昇
────────────────────
スキルステータス
パッシブスキル:☆成功率上昇1%上昇
アクティブスキル:なし
―――――――――――――――――――
LVアップ!? もしかしてこのスキルって成長するの!?
スキル所持者の能力を伸ばすスキルはあるけど、スキル自体が成長するなんて聞いたことないよ!
「エルサさん、なんか再生スキルが成長したみたいなんですが、新しく廃品作ってもらっていいですか?」
「え? スキルが成長? それっていったい? そっか確認するため、あたしが廃品を作ればいいのね」
「ええ、お願いします」
エルサさんが新たに作り出した廃品に触れ、再生スキルを発動させる。
―――――――――――
再生スキル
LV:2
経験値:0/18
対象物:☆鉄の剣(廃品)
>鉄の剣(普通):91%
>鉄の剣(中品質):71%
>鉄の剣(高品質):51%
>鉄の剣(最高品質):21%
>鉄の剣(伝説品質):11%
―――――――――――
よく見ると、表示されているLV表記が2に変化し、経験値という項目の数字がゼロに戻り、再構成の成功率が1%上昇していた。
やはり、再構成の成功数によってLVが上がったみたいだ。
これなら、再構成を続けLVをあげれば中品質や高品質の物も安定的に作り出せるようになるっぽい。
「エルサさん、やっぱりLVが上がったみたい」
「ス、スキルが成長するのなんて初めて聞いたよ!」
スキル自体が成長するスキル。
それが、僕が神様から与えられた再生スキルの持つ能力の一つだった。
「エルサさん!? いつの間にここに!」
巨木の根で待っててくれるはずのエルサさんが、こちらに向かって駆けてくるのが見えた。
「エルサさん、待っててと言ったのに!」
「心配で、心配でしょうがなかったからきちゃったの! 怪我とかない!」
こちらに着いたエルサさんは、目に涙を浮かべながら、僕の体を隅々まで触って無事を確認していた。
「大丈夫ですって。なんか……オーガ倒せちゃいました」
オーガの死体が消え、素材であるオーガの角と魔結晶が地面に転がっている。
ゴブリンたちも装備を落とし、素材であるゴブリンの骨と、魔結晶になっていた。
魔結晶や素材は、魔物が倒されると一定時間で生成され、魔力の源として様々な道具に使用される。
そのため、魔結晶は冒険者ギルドが買い取ったりしてくれている。
「すごい……ロルフ君が全部倒したんだよね」
「は、はい。倒せちゃいました」
「護衛についてた冒険者たちが逃げ出したオーガを、たった一人で倒すなんて……。やっぱロルフ君があたしの運命の人」
無事なのを確認したエルサさんに抱き付かれ、自分の顔がまた彼女の胸に埋もれた。
「うわっぷ。エルサさん!?」
抱き付かれて思い出したが、彼女は献上奴隷としてフィガロさんの家に送り届けられる途中だった。
なんとかお金を工面して、エルサさんの村が支払えなかった徴税額を納められないかな。
ゴブリンとかが落とした武器とか、再生スキルで新しくしたら売れそうだし、魔結晶もオーガとかのなら高く買い取ってくれそうだし。
エルサさんの胸から抜け出すと、僕の無事を喜んでいた彼女にお金の話をすることにした。
「エルサさん! フォルツェン家の献上奴隷にならないで済むよう、少しでもお金を稼ぎませんか? ほら、僕たちならサビた物でも新しくできますし! 魔結晶もあるし!」
僕の提案を、エルサさんはきょとんとした顔で見ていた。
「ロルフ君! 頭いい! そうね! あたしたちって物を再生できる力があったんだ。新しくなれば売れる物になるよね! やろう、すぐにやろう!」
一応周りにいた魔物はすべて倒したし、危険もないだろうから、エルサさんにも拾うのを一緒に手伝ってもらおう。
「じゃあ、エルサさんも魔結晶とか素材を集めるの手伝ってもらえます?」
「うん、する! これは、あたしを助けてくれたロルフ君へのお礼ね。こんなことしかしてあげられないけど……受け取ってもらえるかな?」
エルサさんのやわらかい唇が、僕の頬に軽く触れた。
彼女の唇が触れた途端、自分の顔が火照っていく。
「エ、エルサさん!? 何を!?」
「こ、こんなことしかできないけど、あたしからのお礼の気持ち受け取ってくれてありがとう。あ、あの、もう一回しとく?」
エルサさんも照れているようで、顔が赤かった。
か、可愛い。
いや、年上の人に可愛いなんて言ったら失礼だよな。
って、そうじゃなくて! 今、僕ってキスされた!?
魔結晶や素材などを集め始めたエルサさんの後ろ姿を見ながら、僕は彼女の唇の触れた場所に手を触れぼんやりと立ち尽くした。
「ロルフ君、早く集めよー」
ぼんやりとしていた僕に、エルサさんが声をかけてきたので、慌てて装備や素材、そして魔結晶を集めることにした。
「エルサさん、武器の破壊をお願いします」
「うん、すぐにやる」
素材や魔結晶や武器を集め終えたので、装備を再生させるため、エルサさんの破壊した廃品に触れるとスキルを発動させる。
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再生スキル
LV:1
経験値:2/12
対象物:☆巨大こん棒(廃品)
>巨大こん棒(普通):90%
>巨大こん棒(中品質):70%
>巨大こん棒(高品質):50%
>巨大こん棒(最高品質):20%
>巨大こん棒(伝説品質):10%
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成功率の高い普通品質を選び、再構成を始めた。
周囲へ一気に光が溢れる。
光が収まると、真っ二つにされていたはずの巨大こん棒が元通りに戻っていた。
>巨大こん棒(普通品質)に再構成に成功しました。
>巨大こん棒(普通品質)
攻撃力:+20 資産価値:二万ガルド
「大きい……オーガが持ってたこん棒よね。こんなの持てる人いるのかしら」
「でも、資産価値二万ガルドって出てますし、欲しい人はいるんでは」
「こ、これが二万ガルドもするの?」
再生スキルが算出したと思う資産価値だから、買う人がいればって話だろうけど。
大きな槌を使う戦士の人とかなら、欲しい人いるかもしれないし。
「意外と武器は高く売れるかも。他の武器も再生していきましょう!」
「うん、バンバン破壊するね」
エルサさんが新たに破壊した武器に手を触れ、再生させる。
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再生スキル
LV:1
経験値:3/12
対象物:☆鉄の大刀(廃品)
>鉄の大刀(普通):90%
>鉄の大刀(中品質):70%
>鉄の大刀(高品質):50%
>鉄の大刀(最高品質):20%
>鉄の大刀(伝説品質):10%
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普通の品質で再構成を選ぶ。
>鉄の大刀(普通品質)に再構成に成功しました。
>鉄の大刀(普通品質)
攻撃力:+6 資産価値:二五〇〇ガルド
再生を終えた大刀は刀身にあった刃こぼれと錆が消え、新品同様に戻った。
その後、ゴブリンたちが落としたサビた鉄の剣を同じように再生させていくと、視界の端に出ていた文字の表示が変化していた。
───────────────────
>【再生】スキルがLVアップしました。
>LV1→2
>解放:☆の成功率1%上昇
────────────────────
スキルステータス
パッシブスキル:☆成功率上昇1%上昇
アクティブスキル:なし
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LVアップ!? もしかしてこのスキルって成長するの!?
スキル所持者の能力を伸ばすスキルはあるけど、スキル自体が成長するなんて聞いたことないよ!
「エルサさん、なんか再生スキルが成長したみたいなんですが、新しく廃品作ってもらっていいですか?」
「え? スキルが成長? それっていったい? そっか確認するため、あたしが廃品を作ればいいのね」
「ええ、お願いします」
エルサさんが新たに作り出した廃品に触れ、再生スキルを発動させる。
―――――――――――
再生スキル
LV:2
経験値:0/18
対象物:☆鉄の剣(廃品)
>鉄の剣(普通):91%
>鉄の剣(中品質):71%
>鉄の剣(高品質):51%
>鉄の剣(最高品質):21%
>鉄の剣(伝説品質):11%
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よく見ると、表示されているLV表記が2に変化し、経験値という項目の数字がゼロに戻り、再構成の成功率が1%上昇していた。
やはり、再構成の成功数によってLVが上がったみたいだ。
これなら、再構成を続けLVをあげれば中品質や高品質の物も安定的に作り出せるようになるっぽい。
「エルサさん、やっぱりLVが上がったみたい」
「ス、スキルが成長するのなんて初めて聞いたよ!」
スキル自体が成長するスキル。
それが、僕が神様から与えられた再生スキルの持つ能力の一つだった。