麗音の秘密。僕より面白い過去をもっている人がいるのだろうか。いや、いるんだろうけど。そんなことを考えてると、またLINEが来た。
『話せば長くなるんだけど、聞いてくれる?』
僕はとりあえず、
『聞きたい』それだけ送った。
さっきまで橋の下で騒いでいた子供たちの声が聞こえなくなって、この河川敷も静かで麗音の文字を打っている音しか聞こえなくなった。その状態が数分が経つとLINEが来た。
『私、実は両親が音楽家なんです。だから、幼少期からずっとピアノと歌のレッスンを両親から習っていて、将来はピアニストか歌手になることがほぼ決定していたんです。でも、今みたいな状態になっちゃって親から見放されて逃げるようにこっちに来てたんです。今は父方の祖母の家に住まわせて貰いながら普通の高校に通っています。』