それと、なんとなくだけど智に麗音の話もしない方がいいと思った。
「余計なお世話だよ」
そう言い放ったら、智が「そういえば」と言って話を切り替えてきた。
「この前さ、「世界の始まり」っていうバンドのライブチケット当たったんだけど一緒に行かね?3枚あるんだけど、あと一人誰にするかな」
僕が行くことは確定事項らしいけど、僕は行く気にはなれなかった。
こんな僕に人生を楽しむ資格なんてないと思った。
それと、あんまり関係ないかもしれないけど、自分の好きな人…つまり、麗音の耳が聞こえないのにライブに行くのは申し訳なくなった。そう勝手に思っている。