学校に着くと元気なった智が嬉しそうに小声で、
「なぁ、聞いてくれよ。俺、昨日彼女できたんだー」
自慢そうにそう言ったが、意外でも何でもなかった。
こいつは高校1年生から色んな人から好意を抱かれる。つまり、モテる。そんな彼と僕が友達をやってるのは本当にたまたまで、高校1年生の頃一番最初の席が隣だっただけ。それを妬む女もいたけど僕は無視した。
「へー、良かったね」
それだけ言った。冷たいと思われるかもしれないけどこれが僕の『普通』なのだ。
「相変わらず冷たいなぁー、そんなんじゃ彼女できないぞ?」
智には言ってないけど、僕にも中学生の時に1度だけ彼女ができたことがあった。
向こうが僕に告白をしてきて、別になんとも思ってなかったけど、その時の僕は心の余裕がなかったから少しでも心の余裕が出来ればと思い、軽い気持ちでOKをして付き合うことになった。その子を利用するみたいで申し訳なかったけど。
でも結局、心に余裕が生まれることはなかったし、これ以上付き合ってても逆に申し訳ない気がしたから別れることにした。