音のないこの世界で

これは、まだ僕の家族が壊れる前の話。
僕の父は一般企業に務める普通のサラリーマンだった。
そんな父は、僕が小学5年生の頃に母とは別の女を家に連れ込んだのだ。その日は僕の誕生日の前日だった。
その日母はパートで家を開けており、僕はたまたま学校が終わるのがいつもより早かった。家に帰宅すると知らない女性の靴が置いてあり、知らない女の声が両親の寝室から聞こえた。
怖くなった僕はカバンをそっと玄関の隅に置き、家を飛び出た。
そのままずっと走っていて、気づいたらあの河川敷に座っていた。まるで、瞬間移動したみたいに。
そのまま僕は何故か眠ってしまい、起きたのは16時を知らせる鐘がなったからだった。