音のないこの世界で

『こんにちは!来てくれると思ってました!』
彼女はノートを見せてから隣に敷いたダンボールをポンポンと叩いた。まるで「座ってください」と言っているみたいに。
僕は素直に彼女の隣に座ったが、昨日よりも距離が少し近い気がするから、少しだけ心臓がバクバクしていた。夕日が1番輝くまでおそらくあと30分位だろう。
そんなことを考えていると、彼女が僕の肩をトントンと叩き、ノートを渡してきた。
『あの、もし良かったら連絡先交換しませんか?』
そう書かれていて、彼女の右手にはスマートフォンがあった。