『みんなで食べるとより美味しいね』
というセリフを昔、誰かが言っていた。
僕は今日初めて、その言葉の逆があることを知った。
別に、料理が不味くなったってわけじゃない。ただ、一気に美味しさを感じなくなった。
夜食も食べ終わり、皿洗いをし終えたところで母が風呂から出てきてリビングに入ってきたので、いつも通り僕はすぐに逃げるように風呂場に向かった。
すれ違いざまに母が、
「あ、片付けてくれたの。ありがとうね」
「あ、うん。とりあえず風呂入ってくる」
「…そう。いってらっしゃい」
いつも通りの会話。いつも通り母は缶ビールを取ってソファに座った。それを横目に見つつパジャマを持って風呂場に向かった。
風呂から出るとリビングに顔を出さずに、自室に向かった。