「え?『好きです』の手話が知りたい?そんなのいつ使うんだい?あ、もしかして麗音に伝えるのかい?」
節子先生はにやにやしながらそう言ったけど僕は至って真面目だ。
「あ、はい。いつか伝える時のために教えていただくて。」
自分で調べるのもいいと思ったが、僕は文化祭が始まる前の僕が通う最後の手話教室で節子先生にそう聞いた。これは人の手で教わりたいと思った。変なこだわりだが、そういうとはしっかりしたい。すると節子先生は、
「随分と素直だね。いいかい?こうやってこうだよそれを麗音にそのまま伝えなさい。」
そう言って左親指と右手小指を立てて、左右外側から内側に近づけて真ん中でつけた。