僕は一語一句を麗音にそのまま伝えた。
すると麗音は手話で、
『私たちはずっと家族でしょ?』
笑いながらそう言った。だから僕はそのまま麗音のお父さんに言った。お父さんは笑っていた。これが家族の本来あるべき姿なのだと思った。続けて麗音は、
『私の演奏どうだった?』
とお父さんに聞いたのか僕に聞いたか分からないけど、僕はその質問をそのまま麗音のお父さんにした。
「私の演奏がどうだった?だそうです。」
「最高だった。さすが私の娘だ。と言いたいところだが少し調子に乗りすぎたかな……。」
僕は「そんなことないですよ」と伝え、今麗音のお父さんが言ったことをそのまま麗音に伝えた。
「ありが…とう。湊くん…も」
『どういたしまして!』
それからは二人に僕が持参した紙とペンを渡し二人の時間を作った。麗音には沢山話した後に河川敷に来るように言った。麗音は後夜祭には興味がないらしいから。
「本当にすみません」