周りでの雑音がなくなって静まり返ったところところでアナウンスの人がマイクをオンにする音が聞こえた後、
「最後に本校生徒によるピアノの演奏です!」
幕が上がり麗音の姿が見えた。メイド姿とは打って変わって真っ白なドレスを着ていた。そんな麗音の姿に会場がざわついていた。
「あれって…。耳の聞こえない人じゃなかった?あれ嘘だったの?」
「え?それはなくね?先生が言ってたし。それに嘘つく理由なくね?」
「でも、ピアノの弾けんの?」
「さー。あの子のピアノ弾いてるの見たことないし」
そんなような会話が至るところで聞こえた。
そんな中、麗音は「すーっ」と深呼吸をして周りがざわついているのが分からないので演奏を始めてしまった。でも、始めた瞬間に周りの声がスっと止んで全員が麗音の演奏に夢中になっていた。僕が初めて麗音の音を聞いた頃にも驚いたがそれ以上に驚きと感動が同時に来ている。
麗音のこの二ヶ月間の努力の結晶がみんなに行き届いてるみたいに麗音の音に体育館にいる全員が心を奪われた。