インターホンを押す。
「はーい。」
出てくれたので一安心。
「あの、吉岡湊です。」
そのあとは何も言わず鍵だけが空いた。入ってもいいということだと勝手に解釈した。躊躇してる暇なんてないのだから。
「お邪魔します」
部屋の中に入ると両手を組んで顎の下に乗せている麗音のお父さんがいた。
「2枚……」
僕が突っ立っていると麗音のお父さんがそう呟いた。
「2枚?」
オウム返しになってしまったけど、その言葉の意味が理解できなかったので仕方が無い。
「ああ、このチケットは2枚届いた場合どうすればいいんだ?」
麗音……。チケットをお父さんに送ってたんだ。
「でも、前にも言ったがいけない。あの子に合わせる顔がない」