「来週さ、近くの高校で文化祭やるんだけど私招待状貰っちゃったわ｣
耳を疑った。
「え？どこの高校？」
思わずそう聞くと母は席から立ち上がりカバンから封筒を取り出し目を凝らしている。
「えっと…。県立薄明高校よ」
まずいことになった。その高校は麗音達の高校だ。
「誰から誘われたの？」
「会社の仲良い後輩ちゃんの娘さんが通ってるんですってだからその後輩ちゃんと行くのよー。もしかして行かたいの？｣
麗音のお父さんと鉢合わせたらまずい。
「その子何部かわかる？」
体育館にさえ来なければ多分問題はないとは思う。そう思ったがダメだった。
「軽音部なのよ。その子ボーカルだから演奏聞くの楽しみー」
いや、あの日からだいぶ年月がたっている。多分顔はお互い覚えてない。
後は僕が麗音のお父さんと知り合いというのを僕の母にバレなければ問題は無い。後は僕の努力次第という訳だ。