その智の純粋の疑問の答えをこの中で唯一知ってる。がもちろん言わない。
「知らない。俺も前気になったから聞いたら答えてくれなかった。」
世の中にはついていい嘘といけない嘘があるがこれはいい嘘だ。と思う。
「そーか。俺麗音のこと全然知らないんだよなー」
「私もー。麗音、今年引っ越してきたばっかりだから知ってるとしたら両親が離婚してるってことくらいかなー。そして今おばあちゃんと住んでることくらい?」
「それまじ?ってか湊知ってたの?」
僕がその話を聞いてあまり驚かなかったからか智はそう聞いてきた。
「うん。俺もそれだけ知ってた」
これも嘘だ。これ以上のことも知ってる。本当は知りたくなかった事実まで、何もかも。
「そうだったのか……。まぁ人に話せることじゃないよな。」
納得してくれたみたいでよかった。
「でも、麗音に言うなよ。」
「何を?」
もちろん親が離婚してることを知ってることだ。これは経験談だ。知られたくないことを知られてしまった時のことを僕は鮮明に覚えてる。