母はメモ用紙に何か書いてから「じゃあ、家からこれ持ってきて」と渡してきた。
お土産を家に置いてきてしまったことを思い出したので頼まれたものと一緒に持っていこうと思った。
「はい持ってきたよ。それとお土産」
「あら。浜松に行ってきたのね」
「よくわかったね」
母には泊まりで出かけてくるとしか言わなかった。
「前に1度あって、このお土産見たことがあったのよ。ホント、親子ってすごいわね」
懐かしむように言った母はどこか悲しい顔をしていた。おそらく僕が産まれる前に父と行ったのだろうとすぐに察して話を変えることにした。
「そういえばさ。有給取ったんじゃなかった?」