「え?就職?何言ってるのよ、大学には行きなさい。まだ湊は高校二年生なんだからじっくり考えなさい。」
前に担任の高橋先生は「もうお前らも高校二年生だから真面目に勉強しろよー」と言っていた。母は「まだ」と言い先生は「もう」と言う。どちらを信じればいいか。僕には分からないけど、とりあえず母にこれ以上迷惑をかけたくなかった。
「でも……」
「将来それ以上の額を返してくれればそれでいいわ」
母はにやにやしながらそう言ってきた。
「なんだよそれ」
僕も思わず笑ってしまった。
「とりあえず、今何か欲しいものある?」
今度は僕を頼って欲しかったのと、前に僕にスマホをプレゼントしてくれたお礼も兼ねてだ。