「あ、はい。母1人です…。父はいません。」
軽い貧血だったとしても僕は喜べなかった。また自分のせいで母が辛い思いをしていたと思うと自分に腹が立った。そんなことを考えていると母が目を覚ました。
「あら、湊。来てくれたのね。私ったら昔から体力だけは自信あったんだけどなぁ。すぐに退院するから平気よ。」
「ああ、目覚めましたか」
そう言って先生は色々母に話をしてから部屋を出た。
「母さん、ごめん。」
「なんで湊が謝るのよ」
「……俺、高校卒業したらすぐに就職するよ」
これはずっと前から考えてたことだ。頭が良かったら特待生で行けるけど僕にそんな頭はない。良くも悪くもなくずっと平凡だった。