僕の言いたいことを代弁してくれたみたいだ。
「では失礼します」
今度は智が頭を軽く下げ、「もう行こうぜ」と言って僕らの手を引っ張った。
ふと振り返るとまだ彼はまた頭を深々と下げていた。僕はその姿を見ていてもたってもいられなくなり智の手を振りほどいて「ちょっと先行ってて」とだけ伝え彼の元へ駆け寄った。
「あの、こっちもきつい言い方してすみません。」
彼は少し驚いた顔をしてから、
「いや、当たり前だよ。友達を傷つけられたんだから。それに僕も部長を止められなかったから同罪だ。」
言ってはいけないと思ったけど、なんで耳が聞こえないのにこの場所に麗音がいたかを説明したかった。