僕だけに聞こえるように智がそう言った。聞くだけなんだから緊張することないだろといつもの僕なら思うが今回ばかりは僕も何故か緊張していた。場違いじゃないかとか僕らが来て笑われないかとか諸々。
ホールに入り、指定された席につくと目線がピアノの鍵盤がちょうど見える席だった。この位置だとピアニストが座ってもきちんと見える場所だった。そんなことを考えてたら麗音がいつものノートをスっと渡してきた。
『ごめん。勝手に席選んじゃった。ほら、私耳聞こえないから鍵盤見て学びたかったから。』
ふと麗音を見ると両手を合わせて全力で謝っていた。
僕は手話で「構わないよ」と言った時に隣の席からとんでもない言葉が聞こえた。
「手話って……聞こえないのに来てるのかよ。チケット取れなかった人可哀想だなぁ」
その人は僕が聞こえない人だと思っているみたいだった。
ホールに入り、指定された席につくと目線がピアノの鍵盤がちょうど見える席だった。この位置だとピアニストが座ってもきちんと見える場所だった。そんなことを考えてたら麗音がいつものノートをスっと渡してきた。
『ごめん。勝手に席選んじゃった。ほら、私耳聞こえないから鍵盤見て学びたかったから。』
ふと麗音を見ると両手を合わせて全力で謝っていた。
僕は手話で「構わないよ」と言った時に隣の席からとんでもない言葉が聞こえた。
「手話って……聞こえないのに来てるのかよ。チケット取れなかった人可哀想だなぁ」
その人は僕が聞こえない人だと思っているみたいだった。