他人の心配している場合ではないのに気を紛らすためにそんなことを考えていた。
「あれ?湊も来てたのか」
声が聞こえた方を向くと、まだ風呂に浸かってないのに頭にタオルを乗せた智が歩きながらこちらへ向かってきた。
「うん。ここの湯いい感じだよ」
湯加減はバッチリだ。そもそも風呂に浸かるのも久しぶりだ。いつも家ではシャワーで流すだけで風呂には浸かってない。
「外行かね?」
智が外に通じるドアを指さしながらそう言ったので僕は「ああ、そうだな」とだけ言って一緒に外に出た。
空は満点の星空で雲ひとつなかった。最高の露天風呂日和だ。
「うわー!空が綺麗だな!」