次の日の放課後、僕は麗音を連れて智の家の前に来ている。もちろん麗音は智の家を知らないから一度、河川敷に集合してから智の家まで来た。智には「今日、ピアノの子連れてくから」とだけ伝えておいた。
時間があまりないのですぐにインターホンを押した。智はすぐに出てきてくれたが、ドアを開けたまま固まっていた。
「………」
「おい。どうした？｣
僕がそう声をかけると智はハッと我に返った。
「あ、ごめんごめん女子だとは思わなくて、てか先に言えよ。」
そんな智を僕は無視して麗音に智のことを紹介した。節子先生に習った手話で。麗音と智が驚いている。
「…湊？なんで手話？もしかして……」
智は察したように黙った。
そして、麗音には伝わったらしいけどまだ驚いていた。