自分が無意識に母を傷つけることを言ってしまったのかと思ったが違ったみたいだ。
「嬉しくて…。湊が楽しそうにしてるから安心しちゃって……。私のせいで辛い思いばっかりしてたから……」
「母さんのせいじゃないでしょ?なんで泣くのさ…」
泣いている母を見るとこっちまで泣きそうになってしまったけど、さすがに堪えた。
「ごめんね……」
目を手で擦りながら謝る母の口は笑っていた。
その顔を見て僕は安心した。僕がまた泣かせてしまったけでは無いこと、母が僕に辛い思いをさせていないことがちゃんと伝わったこと。
食事をした後は久しぶりに母の仕事の愚痴や世間話に付き合った。もちろん母は酒を飲んでいた。でも、ちっとも嫌な気分じゃなかった。これからは定期的に付き合ってあげようかな。上から目線になってしまったが、そう思った。