そう言いかけたところで僕が机に手を少しだけ強く叩きつけて先に口を開いた。思わず反射で、
「弾けます！麗音はまだピアノ弾けます。だから文化祭でピアノを演奏しようとしているんですよ。」
勢いよく真実を話すと麗音のお父さんはまた驚いた顔をしている。
「……どういうことだ。麗音は耳が聞こえないはずだ。ピアノなんて…」
その言葉に少しだけイラッときてしまったのでコーヒーを1口飲んで、苦ッと思いながらもさっき来る時には調べたことを、あたかも元々知っていたことみたいに披露した。
「ベートーヴェンだって耳が聞こないじゃありませんか。音楽家なら知っていますよね！？」