金曜日の放課後、僕は智とファミレスに来ている。
「んで、湊が俺に相談って珍しいな。…それで相談って?」
智がポテトを口に放り込みながらそう聞いてきたのには訳がある。
今朝、学校に着いてすぐに「放課後に相談があるからちょっとファミレス行こ」とだけ言ってここに無理やり連れてきた。
僕の【ある考え】を実行の過程に必要なのだ。
「いや、大したことじゃないんだけど。智、兄弟いるよな」
「あ、うん。兄貴が1人いるけど。いること話したっけ?」
話されてないけど、この際どうでもいい。適当なことを言っておけばいいのだ。
「ああ、随分前にな。それで、そのお兄さんピアノとかやってる?」