状況の掴めないサラはテーブルの上にできた竜巻を振り返り、そこからいくつもの声が溢れだし、無数の手足が伸びて来るのを見て悲鳴を上げた。
「どうしてこんなことに……?」
「バルクロのせいよ。あなたが無理やりあっちの世界へ送った魔物たちが、一斉にこちらに戻って来ようとしているの」
エレインの声がさも残念だと言うようにそう告げた。
「あれを消す方法は?」
グレンがバルクロの襟首を掴んで揺さぶる。
「消す方法なんてない。一度開いたら丸一日は開きっぱなしだ」
バルクロは青ざめ、震える声でそう答えた。
「あなた」
こんな時にも関わらず、落ちついていて優しいローラの呼ぶ声がバルクロをはっとさせた。
「この部屋で食い止めましょう」
「そんなことを言っても、僕たちの力では抑えきれないよ」
「あなたも一度は箱の番人だったのだから分かるはず。まだこの世界には彼らの居場所はないわ」
「お母さん、私も手伝うわ。どうすればいいの?」
ローラはしばらく考え、
「地下にもうひとつ入り口を開いて、そこへ誘いこみましょう」
そのためにはまず、エレインから封じの箱を取り戻さなくてはならない。
癒しの箱はサラの手に、奏での箱はバルクロの手にあった。
ローラはバルクロの手から箱を預かるとそれをサラに持たせ、地下へ先に行くように言った。
「グレン、サラをお願いします」
グレンは頷き、サラの手をとると地下へ向かった。
とにかく怪しい渦からサラを遠ざけたかった。扉をくぐる前にグレンはエドニーを振り返った。
「エドニー! しっかりしろ! そんなことで俺の秘書が務まるのか!」
エドニーの肩がぴくりと反応するのを見て、グレンはエドニーに背を向けた。
――いつまでも操られているなよ。
「どうしてこんなことに……?」
「バルクロのせいよ。あなたが無理やりあっちの世界へ送った魔物たちが、一斉にこちらに戻って来ようとしているの」
エレインの声がさも残念だと言うようにそう告げた。
「あれを消す方法は?」
グレンがバルクロの襟首を掴んで揺さぶる。
「消す方法なんてない。一度開いたら丸一日は開きっぱなしだ」
バルクロは青ざめ、震える声でそう答えた。
「あなた」
こんな時にも関わらず、落ちついていて優しいローラの呼ぶ声がバルクロをはっとさせた。
「この部屋で食い止めましょう」
「そんなことを言っても、僕たちの力では抑えきれないよ」
「あなたも一度は箱の番人だったのだから分かるはず。まだこの世界には彼らの居場所はないわ」
「お母さん、私も手伝うわ。どうすればいいの?」
ローラはしばらく考え、
「地下にもうひとつ入り口を開いて、そこへ誘いこみましょう」
そのためにはまず、エレインから封じの箱を取り戻さなくてはならない。
癒しの箱はサラの手に、奏での箱はバルクロの手にあった。
ローラはバルクロの手から箱を預かるとそれをサラに持たせ、地下へ先に行くように言った。
「グレン、サラをお願いします」
グレンは頷き、サラの手をとると地下へ向かった。
とにかく怪しい渦からサラを遠ざけたかった。扉をくぐる前にグレンはエドニーを振り返った。
「エドニー! しっかりしろ! そんなことで俺の秘書が務まるのか!」
エドニーの肩がぴくりと反応するのを見て、グレンはエドニーに背を向けた。
――いつまでも操られているなよ。