わかってるけど聞いてみた。
「そうだよ。喘息の薬」
「喘息ってそんなに飲まなきゃいけないんだね」
「私の場合、重症だから」
喘息には重症とか軽症とかあるんだなと初めて知った。蓮には適当に「重い喘息」なんて嘘をついているけど、多分、蓮の場合存在しない病気を言っても信じてくれそうだから、別に何でも良かった。
「そろそろ私、お風呂に入るね!…一緒に入る?」
また彼女はいたずらっぽく笑った。久しぶりに見た気がする。実際は一週間くらいだけど。
余命宣告されてから時間の経過が遅く感じるからだろうか。いや、彼女と出会ってからだな。毎日が濃すぎるからだ。
「入るわけないだろ。いいから早く入ってきてくれ」
昼間はとても暑くて汗をめちゃくちゃかいたから早く風呂に入りたかった。