「ほらほらこっちこっち!」
「こんなところほんとに泊まって平気なの?」
「だーかーらー平気だってば!」
僕の病気のことをたまたま知ってしまった彼女がまさかここまでしてくれるとは。彼女には、いつか恩返しをしなくちゃなと思った。
もちろんお金は今度全額返すつもりだ。彼女が受け取ってくれるか分からないけども。
旅館に入ってすぐ、彼女がホテルマンと話をしていた。実際には女将さんなんだろうけど、おそらく予約の確認をしているのだろう。僕は持ってきた本を読んでフロントのソファで待つことにした。
数分してから、戻ってきた彼女は何故か鍵をひとつしか持ってなかった、鍵と言ってもカードだけど。ってそんなこと考えてる場合ではない。