彼女は話をそらすようにそう聞いてきた。
「どんなって言われても色んな種類のを満遍なく読むよ?恋愛モノだったり、推理小説だったり、本当に色々だよ」
「へー、恋愛モノねー、意外ー」
彼女の顔はにやにやしている。馬鹿にしているようにしか見えなかったがあえてスルーした。
ただの無視だったのだが、拗ねていると勘違いされたのか謝られた。
「ごめんごめん。じゃあ、誰の小説がおすすめ?」
それにしても意外だった。彼女が本に興味を持つなんて。僕はとりあえず最近読んだ本の作者を教える。
「東野圭吾さんとか…かな」
「あー!知ってる!『ナミヤ雑貨店の奇蹟』とかでしょ?」