作業中に山本さんに朝のことを話しかけられると思ったけど、そんなことなく、普通に仕事をしていた。少しだけ関心した。
作業を続けて、気がつけば18時を回っていて、キリのいいところまで終わったところで解散することになった。
外に出るとだいぶ暗くなってきていて、少しだけ肌寒かった。
いつも通り徒歩で帰宅していると後ろから聞き覚えのある、今一番聞きたくない声が聞こえた。
「おーい!春斗くーーーん!」
振り返るとやっぱり山本さんだった。
「どうしたの?生徒会のこと?」
低めのテンションでそう言った。
「違うよ!朝のこと!朱里に私と友達じゃないって言ったでしょ!」
朱里というのは彼女の親友らしき人で、ホームルームの後に僕を校舎裏に呼び出した松浦さんの名前だ。
「言ったけど?」
「ボーリング行った時に友達になったじゃん!」
「それは山本さんが勝手に…」
なんか違う気がしたから言いかけてやめた。ほぼ言っちゃったようなものだけど。
「……僕には友達の定義が分からない。それにさ、後ちょっとで死んじゃう僕なんかより山本さんはあの友達と一緒に最後の高校生活を過ごした方がいいんじゃない?」