そう思った時、そこにめんどくさいのが来た。
「おーい、春斗ー」幼馴染でもあり、僕の唯一の友人の蓮だ。僕の席の一個前の席の椅子に逆向きに座りながら、僕の名前を呼んだ。
「……なんだよ」僕は本を閉じ、蓮の話を聞く。
「あの噂ってほんと？」
「あの噂って？」
分かってはいるけどあえて知らないフリをする、あまり意味は無いと思うけど。
「春斗の噂なのに知らないのー？春斗と山本さんが仲良くしてる所を駅で見かけたって」
期待はしてなかったがやっぱりその事か…。
「違うよ、たまたま休みの日に会って少し話をしただけ、蓮なら分かるだろ？俺の性格的に」
彼は少し考え込んだ後、手をグーにしてもう一つの手のひらに叩きつけながら、
「確かにな！お前、女子とデートとか無理だもんなぁ！それに、春斗そういうの興味ないもんな。でも、なんかあったら真っ先に教えろよ〜」
そう言って彼は手をひらひらさせながら自分のクラスへ消えた。信じてもらえてよかった。さすが僕の幼馴染だ。