あれからが数年たった現在。
僕は、一人で芽依が眠っているところに来ている。芽依の笑顔はこの囲まれた桜の木のように華やかだった。今でも鮮明に覚えている。
僕は霊能力者じゃないし呪術師でもないから芽依がそこにいるのか分からないけど、独り言のように話しかける。
「芽依、遅くなって本当にごめん、遠くの大学に行っててなかなかこっちに戻って来れなかった。ちなみに今は医学部に通ってるんだ。今は必死に食らいついてる感じだけどね……」
あの後、僕は必死に勉強をして、とある大学の医学部に受かって、今は国家試験の勉強中だ。
「医者になろうと思ったのは芽依に言われたからだけじゃないんだ、芽依が救ってくれたこの命で今度は僕が色んな人の命を救いたいんだ。これが君へのせめてもの恩返しだと思うから」
これは芽依から心臓を貰った時、芽依の意志も貰っている。勝手にそう思ってるだけだけど。