家に帰ってあのノートの表紙や裏を見ても僕の名前は書いてない。なんでわかったんだろうか。
恐る恐る中を開くと、机の中に入れた犯人がすぐにわかった。病院にいた喘息のクラスメイト、山本さんだ。
恐らく病院の席に忘れてしまったからだろう。
何故かノートに落書きがされてある。
『病院でノート拾って中身見ちゃった、ごめんね?その代わりと言ってはなんだけど、私にも手伝わせてくれない?山本芽依より』
おそらくだけど、彼女はここに書かれていることが嘘だ思って、からかってるんだ。それに、何を手伝うというのだろうか。
僕は無視することにした。それが一番得策だと思った。いじめっ子はいじめられっ子が無反応だとつまんなくてすぐ飽きる。それと同じ理論。いじめられたことも、いじめたこともないから分からないけど。少なくとも僕が読んできた小説にはそう書いてある。
幼馴染の蓮としか会話をしたことの無い僕の情報源は本かテレビしかない。