「知ってるわ。あの子が無理やり外に連れ出したからでしょ?」今度は笑いながらだったけど、今にも泣きそうな声だった。
「あの…芽依に」
そう言いかけてから芽依のお母さんが察したように
「あ、芽依に逢いに来たのよね。こっちよ」
そう言って芽依のお母さんは僕を芽依の元へ案内してくれた。僕は彼女に線香に火をつけて感謝の意を込めてお礼と楽しかった思い出を思い出しながら手を合わせた。長い沈黙の後。再び芽依の母親の方を向き、今度は芽依のお母さんに改めて感謝の意を伝える。
「本当に何もかもありがとうございました。生前、彼女……芽依は僕に医者になってほしいと言いました。だからって訳では無いんですが、僕、医者になります。それだけ伝えたくて……」