すると蓮は、昔のことを語り始めた。
「覚えてないのかよ。昔…いや、幼稚園の頃、俺さぁ…今は平気だけど、今の春斗と同じで重い喘息でさ、みんながサッカーとか、鬼ごっことか、やってる中、一人で砂遊びしててさ。春斗がそれに気づいてみんなでサッカーをやってるのを切り上げてさ、みんなに『みんなでこっちで砂遊びしようぜ!』とか言ってさ、俺を仲間外れにしないようにしてくれたじゃん。春斗は覚えてなかったけど、俺からしたらすごい救いでさ…遅くなったけど、そのお礼だよ」
確かにそんなことあったな、当時の僕は一人で遊んでて蓮が可哀想蓮だと思ったし、両親が仲良かったからそうすると母が喜んでくれるかな、くらいの感覚だった。でも、まさか蓮がそんな昔のことを覚えていたとは。それに、今の蓮にはお礼なんて似合わないと思い、つい笑ってしまった。すると蓮が笑いながら、
「何笑ってんだよ」そう言った。僕は笑ってしまった理由を話す。