「着替えてきたにはやけに早いな。芽依の家、病院まで学校またいで逆方向だろ?」
「春斗に会いたくて、走ってきたからね!それにしても元気そうじゃん、心配して損したー!」
芽依はそう言ったけど、走ってきたには汗ひとつかいてない。でも、芽依の「会いたくて」という言葉が嬉しかったから気にならなくなった。後半の台詞は絶対に病人に向かって吐くセリフでは無い、それに僕は元気じゃない。
「これ見て元気だと思うか?」
「大変そうだねー。そんな君に!」
彼女は片方の手に果物が入った袋、もう片方にトランプを持っている。芽依が長居してくれるようで僕は嬉しかった。
「芽依にしては気が利くね」
「これでも私はできる女なのです!」