そういうものなのか。まだ僕は恋愛というものをしたことが無い。正確には、したけど覚えてない。
「春斗にもいずれ分かるさ」
そんな時は来るのだろうか、あと残り、一年未満で。
僕も病気じゃなかったら蓮みたいに普通に恋をして、普通に高校生活をすごして、普通に蓮や芽依以外にも友達ができて、楽しい人生を過ごせたのだろうか。帰り道ずっとそんなことを考えていた。相変わらず空は僕の心と反して快晴だ、雲ひとつない綺麗な空に夕日が照り付けている。ふと、横を見ると蓮も空を見ていた。蓮は夕日が良く似合う。蓮ともわかれ、一人で家に帰る。一人で帰っている時もさっきと同じことを考えていた。「もし」の話を、無駄だとわかっていても考えてしまう。そんな自分が嫌いだ。口だけなのだ、受け入れているなんてものは。本当のところは全然受け入れられなくて、なんで僕だけこんな目にあわなきゃいけないんだろうかとか、マイナスのことばかり考えている。そんな自分が本当に嫌いだ。