「いや、君がそんなに素直に呼ぶと思わなくて…」
下を向きながらそう言って、突然顔を上げたと思ったら、
「じゃあ私も春斗って呼ぶ!」
彼女はそう言っているけど、用は「春斗くん」から「春斗」になっただけで対して変わらない、僕は苗字から名前になったというのに、でも、彼女からしたらハードルが高いようで完全に無理をしていたから、
「別に無理しなくていいのに…」
優しくそう言うと、
「べ、別に無理してないもん!……春斗、おはよう!」
彼女は、屈託のない笑顔で僕の名前を呼んだ。
意外と照れるなこれ…。僕もひとのことは言えないな。そんなことを考えていると、芽依はそんな照れてる僕の顔を覗き込むようにして、
「春斗、顔赤いよ?もしかして照れてる?照れてるの?照れてるの?」