「今日の総合の時間は、進路について考えます」
総合的な学習の時間、という、僕ら生徒からすればよくわからない名前のついた教科。
前の席から回ってきた紙を見て、僕はため息をついた。
ザラザラしたA4サイズの再生紙の上部に、丸ゴシック体の見出し。
『進路について考えよう!』
進路について。
「好きなこと」や「宝物」などと並んで、僕が苦手なお題のひとつ。
休み時間や給食の時間、何人かのクラスメートが将来の夢を口にしているのがときどき耳に入る。
いつも友達に勉強を教えているあの子は、学校の先生になりたいという。
学年中から「おしゃれ」と評判なあの子は、ファッションデザイナーを目指しているという。
地域の硬式野球クラブでピッチャーをしているあの子は、プロ野球の道に進みたいという。
僕の中には、あの子たちのような光るものはない。
光るものを持たない崖の下の人間に、将来の希望を語る資格はない。
総合的な学習の時間、という、僕ら生徒からすればよくわからない名前のついた教科。
前の席から回ってきた紙を見て、僕はため息をついた。
ザラザラしたA4サイズの再生紙の上部に、丸ゴシック体の見出し。
『進路について考えよう!』
進路について。
「好きなこと」や「宝物」などと並んで、僕が苦手なお題のひとつ。
休み時間や給食の時間、何人かのクラスメートが将来の夢を口にしているのがときどき耳に入る。
いつも友達に勉強を教えているあの子は、学校の先生になりたいという。
学年中から「おしゃれ」と評判なあの子は、ファッションデザイナーを目指しているという。
地域の硬式野球クラブでピッチャーをしているあの子は、プロ野球の道に進みたいという。
僕の中には、あの子たちのような光るものはない。
光るものを持たない崖の下の人間に、将来の希望を語る資格はない。