目の前で繰り広げられる二人の会話に、またもや蚊帳の外状態になる。
いや、別にいいんだけど。同じ中学出身であれば積もる話があるだろうし。特別羨ましいとは思わないんだけど、たった数日でこんなに距離が縮まるものだろうか。
『井浦、お前また驚いて固まってんの? ウケるんだけど』
廊下で繰り広げられる二人会話に呆然と立ち尽くしていると、袴田くんが後ろからニヤついた笑みを浮かべてやってきた。教室や屋上でなくても出現するたびに驚いていたが、今となっては慣れたものだ。
佐野さんと船瀬くんが楽しそうに話しながら先を行くのを見ながら、袴田くんはくはは、と笑う。
『あの佐野って奴、自分が客だっていいことに、ここ最近ずっと船瀬のバイト先に通ってたんだぜ』
「え? ずっと?」
『いやぁ、そこからの距離の詰め方は尋常じゃないくらい早かったな。船瀬よりも周りの店員が先に仲良くなってた』
「……もしかして袴田くん、また佐野さんの後を追ってたの?」
『岸谷みたいに人の後を追う趣味はねぇ』
といいながらも一緒にいたよね。と言いかけるが、あることを思い出して彼に問う。
「ねぇ、最初に私たちがお店に行ったとき、船瀬くんがこぼしそうになったグラスを戻したのって、袴田くんでしょ。二人が同じ中学出身だって知っててわざとやったの?」
共通点があったとしても、話すまで発展させるには時間がかかる。袴田くんは最初からすべて知っていたから、自ら手を貸すと言い出したのではないだろうか。
しかし、彼の答えは『さぁな』と呆気ないものだった。納得できないと不貞腐れると、袴田くんはしてやったりと言いたげに鼻で嗤った。
いや、別にいいんだけど。同じ中学出身であれば積もる話があるだろうし。特別羨ましいとは思わないんだけど、たった数日でこんなに距離が縮まるものだろうか。
『井浦、お前また驚いて固まってんの? ウケるんだけど』
廊下で繰り広げられる二人会話に呆然と立ち尽くしていると、袴田くんが後ろからニヤついた笑みを浮かべてやってきた。教室や屋上でなくても出現するたびに驚いていたが、今となっては慣れたものだ。
佐野さんと船瀬くんが楽しそうに話しながら先を行くのを見ながら、袴田くんはくはは、と笑う。
『あの佐野って奴、自分が客だっていいことに、ここ最近ずっと船瀬のバイト先に通ってたんだぜ』
「え? ずっと?」
『いやぁ、そこからの距離の詰め方は尋常じゃないくらい早かったな。船瀬よりも周りの店員が先に仲良くなってた』
「……もしかして袴田くん、また佐野さんの後を追ってたの?」
『岸谷みたいに人の後を追う趣味はねぇ』
といいながらも一緒にいたよね。と言いかけるが、あることを思い出して彼に問う。
「ねぇ、最初に私たちがお店に行ったとき、船瀬くんがこぼしそうになったグラスを戻したのって、袴田くんでしょ。二人が同じ中学出身だって知っててわざとやったの?」
共通点があったとしても、話すまで発展させるには時間がかかる。袴田くんは最初からすべて知っていたから、自ら手を貸すと言い出したのではないだろうか。
しかし、彼の答えは『さぁな』と呆気ないものだった。納得できないと不貞腐れると、袴田くんはしてやったりと言いたげに鼻で嗤った。